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マルコ・マラッツォーリ - Marco Marazzoli (1602-1662): [CD1] 1-8. ラ・ヴェンデンミア Sinfonia - Al Tirso della mano Su prendete o miei ministri Signor, gia corre alla vendemmia usata Su, su, si corra all'opra O d'ambra o vermiglie Un piu lontano Autunno Su, su via da noi concordi Questo, questo vogl’io che spuma e brilla 9-13. ラ・ゼノビア All'armi, all'armi Oime, Zenobia O mie pene troppo rigide catene Si segua, si corra veloce Cosi in petto di Re
[CD2] 1-8. イル・リポーゼ Ritornello: O suolo beato Cosi dicea sovra una prora aurata Ritornello: Chi sei tu che gonfio d’ardire Qual naufrago indegno Cede un'ira insuperabile Questo Pin ch'e d'or pomposo Deh non t'affligger piu Ch'esser non puo 9. 死すべき運命の人よ、暗い夜に生きる者たちよ 10. 死すべき運命の人よ、暗い夜に生きる者たちよ Voi tra nembi, e tra gl'horrori 11-14. 戦争と平和 Tornate o guerrieri Oime, qual voce tanto feroce Eccomi pronta ancella d'Alessandro Fuggite o perigli
[88:45] ---------- [古楽の名手たちによるローマ・バロックの巨匠マラッツォーリの知られざるカンタータ集]マルコ・マラッツォーリはアントニオ・バルベリーニ枢機卿や教皇アレクサンデル7世らに仕え、主にローマで活躍した17世紀の作曲家、ハープ奏者、テノール歌手。枢機卿に従い、イタリア各都市やパリなどヨーロッパ各地を巡り、オペラやオラトリオ、カンタータを作曲しました。中でもカンタータはマラッツォーリにとっての得意ジャンルであり、それらはイタリアだけでなく、フランスでも人気を博しました。本録音では6声の声楽、2本のヴァイオリン、そして通奏低音のためのカンタータに焦点が当てられており、この形式で現存する7曲中5曲が収録されています。その内容は祝祭や戦争の終結、教皇によってもたらされた平和の称賛といったもので、独唱に加え合唱や器楽合奏などが導入された小さなオペラのようです。生前の高い評価にもかかわらず、マラッツォーリのカンタータは現在ではあまり顧みられることがありません。その理由は、現存する自筆楽譜が判読不能な部分が多いためだと言われています。ヴァチカンのアーカイヴに残された自筆譜は、取り消し線で消された部分、書き直された部分、誤った音符、判読不能な小節、解読不能なテキスト、通奏低音部の小節の欠落などが随所に見られ、現代の演奏譜とするには様々な困難があります。その音楽はポリフォニックな展開に重点が置かれており、同時代の他の音楽には見られない数多くの不協和音が見られます。今回の録音ではその不協和音をあえて修正せず、そのまま音楽的な効果として受け入れて演奏しています。「ラ・ヴェンデンミア」はぶどうの収穫祭が題材となっており、主人公は葡萄酒の神でもあるバッカスです。登場人物たちが次々と自分のお気に入りのイタリア・ワインを称賛するという一風変わった内容で、17世紀イタリアで飲まれていたワインの「カタログの歌」と呼べそうです。「ラ・ゼノビア」は、タキトゥスの『古代ローマ年代記』に基づくラダミストとゼノビアの物語が題材。ヘンデル他、バロック・オペラで数多く取り上げられた人気の題材で、アルメニア人たちに追いつめられるラダミストとゼノビアの壮絶な運命がマラッツォーリの音楽によって表現されています。「イル・リポーゾ」 は「休息」を意味する言葉。マラッツォーリが仕えた教皇アレクサンデル7世の静養所カステル・ガンドルフォがあるアルバーノ湖畔を舞台とした作品で、登場人物の「休息」は、ローマの喧騒や争いを避け、美しいアルバーノ湖の静寂を満喫する教皇を示しています。教皇による戦争の仲介が象徴的に語られています。「死すべき運命の人よ、暗い夜に生きる者たちよ」は、1659年11月に調印された「ピレネー条約」によるフランス・スペイン戦争の終結を記念するものです。この条約は教皇アレクサンデル7世の仲介によってなされたもので、歌詞にはパリのセーヌ川やスペインのエブロ川への言及があり、教皇による和平が象徴されています。「戦争と平和」は、ピレネー条約締結の推進役である教皇アレクサンデルを称える一連の作品の最終章。教皇が「戦争」に武器を捨てて「平和」の側につくように説得するという内容です。教皇を古代ギリシアやローマの偉人になぞらえて「新たなアレクサンダー大王」「新たなアウグストゥス」として称賛し、幕を閉じます。こうした小さなオペラのような様相を呈するカンタータを演奏する際、マラッツォーリは自らテノール歌手として歌い、ハープ奏者として特別に製作された大型のトリプル・ハープを弾いていたとされています。彼が使用していた楽器はローマの楽器博物館に所蔵されており、またマラッツォーリと同時期にローマで活躍した画家ジョヴァンニ・ランフランコによって絵画に描かれています。このCDのジャケットにはその絵画「ハープを弾くヴィーナス」が用いられています。ボストン古楽音楽祭声楽&室内アンサンブル(管弦楽団)は、1980年にアメリカのボストンで始まった同音楽祭の楽団として、長年アメリカとヨーロッパを中心に活動し、現在はポール・オデットとスティーヴン・スタッブスという撥弦楽器の大御所二人が音楽監督を務めています。特に気鋭の研究家たちと共同でバロック時代の知られざる劇音楽の復興に力を注ぎ、音楽史的に重要な作品を数多く復活上演するなど目覚ましい成果を上げています。充実した器楽合奏に古楽の分野で活躍する精鋭歌手たちが加わった当盤は、歴史に埋もれたマラッツォーリの再評価を促すこと必至の注目盤です。ジャケット絵画:ジョヴァンニ・ランフランコ:ハープを弾くヴィーナス(ローマ、バルベリーニ宮殿古典絵画館)
コロンボ、ロイター=ハラー、マギー、ボストン古楽音楽祭声楽&室内アンサンブル、スティーヴン・スタッブス (指揮)/Colombo, Reutter-Harrah, Magee, Boston Early Music Festival Vocal and Chamber Ensemble, Stubbs(con)
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